極北写真1
ムースハンティング
アスペンの葉が黄色に染まるこの季節。
極北に住む人にとって、この時期はハンティングの時期です。
車にカリブーを積んだトラックが、たまに通り過ぎていきます。
昨日、フェアバンクスの友人に電話をしました。
ここにいることを知らせないで、電話をしたのでむこうもびっくり。
積もる話をよそにして、ムースを獲りにいくからこないかと誘われました。
去年も彼と、彼の友人とハンティングにゆき、そして何日か原野を駆け回った後、ようやくムースを一頭獲る事ができました。
明日から4日から5日ほど、原野に入り、ハンティングに同行してきます。
自分自身の役目は、ムースの角の形をしたものを背中にしょって、角をこすりあわす音を立てることです。
繁殖期にいきりたっているムースのオスのまねをして、体重が500キロから700キロほどある他のオスムースをおびきだします。
自分のテリトリー内に侵入してきたオスを追い出すために、その場にムースがいれば見事に姿を現します。
去年の秋も同じ方法で、ムースを獲りました。
角を背負い、角と角をこすり合わせたり、角を木にこすったりすること3時間ほど。
それまで全く気配がなかったのですが、日が暮れ始めた頃、ムースが遠くに現れました。
こちらの様子を伺いながら、でもどこか警戒しながらどんどん近づいてきます。
十分近づいてきた後、安全のために、背中から角を下ろしました。
そして隣にいたアラスカの友人が、引き金に手を当てます。
鼓膜がずきんとする音と共に、大きな巨体は倒れました。
地平線に消えてゆく太陽と競争しながら、解体を始めました。
空が紫、そして赤く染まってゆく中、湯気を上げて横たわっているムース。
さきほどまで、目の前に立っていました。
悲しいでもなく、かわいそうでもない、どこか不思議な気分。
小さく切り離しても、巨大で重いムースの体。
手が赤く染まります。
簡単な解体が終わった頃には、外は真っ暗になっていました。
山からキャビンに帰る途中、オーロラが舞い始めました。
極北では、厳しい気象条件のため、野菜栽培や動物の放牧が簡単には行えません。
先住民や白人は、今でも野生動物やサーモンに頼って生きています。
今でこそ、この極北でもスーパーに行けば、南から送られてきた大量の肉を買うことができます。
でも、安全性が分からない肉を食べるよりは、その土地で獲れた肉を好む人が多いのも事実です。
食べるために、自ら頭と体を使って動物を獲ること。
簡単ではありませんし、当然危険も伴います。
だからこそ、獲れたときにはうれしく、感謝の念が混じった不思議な気分になるのだと思います。
1年分の肉を提供してくれる自然の恵み。
いくら文明が発達しても、人は自然から動物、魚、山菜といった恵みを獲り続けるはずです。
他の生命を獲り、頂くこと。
そうすることによって、ただ食べるだけではなく、自分の存在を確かめているのかもしれません。

"Moose in Autumn" <秋のムース>
極北に住む人にとって、この時期はハンティングの時期です。
車にカリブーを積んだトラックが、たまに通り過ぎていきます。
昨日、フェアバンクスの友人に電話をしました。
ここにいることを知らせないで、電話をしたのでむこうもびっくり。
積もる話をよそにして、ムースを獲りにいくからこないかと誘われました。
去年も彼と、彼の友人とハンティングにゆき、そして何日か原野を駆け回った後、ようやくムースを一頭獲る事ができました。
明日から4日から5日ほど、原野に入り、ハンティングに同行してきます。
自分自身の役目は、ムースの角の形をしたものを背中にしょって、角をこすりあわす音を立てることです。
繁殖期にいきりたっているムースのオスのまねをして、体重が500キロから700キロほどある他のオスムースをおびきだします。
自分のテリトリー内に侵入してきたオスを追い出すために、その場にムースがいれば見事に姿を現します。
去年の秋も同じ方法で、ムースを獲りました。
角を背負い、角と角をこすり合わせたり、角を木にこすったりすること3時間ほど。
それまで全く気配がなかったのですが、日が暮れ始めた頃、ムースが遠くに現れました。
こちらの様子を伺いながら、でもどこか警戒しながらどんどん近づいてきます。
十分近づいてきた後、安全のために、背中から角を下ろしました。
そして隣にいたアラスカの友人が、引き金に手を当てます。
鼓膜がずきんとする音と共に、大きな巨体は倒れました。
地平線に消えてゆく太陽と競争しながら、解体を始めました。
空が紫、そして赤く染まってゆく中、湯気を上げて横たわっているムース。
さきほどまで、目の前に立っていました。
悲しいでもなく、かわいそうでもない、どこか不思議な気分。
小さく切り離しても、巨大で重いムースの体。
手が赤く染まります。
簡単な解体が終わった頃には、外は真っ暗になっていました。
山からキャビンに帰る途中、オーロラが舞い始めました。
極北では、厳しい気象条件のため、野菜栽培や動物の放牧が簡単には行えません。
先住民や白人は、今でも野生動物やサーモンに頼って生きています。
今でこそ、この極北でもスーパーに行けば、南から送られてきた大量の肉を買うことができます。
でも、安全性が分からない肉を食べるよりは、その土地で獲れた肉を好む人が多いのも事実です。
食べるために、自ら頭と体を使って動物を獲ること。
簡単ではありませんし、当然危険も伴います。
だからこそ、獲れたときにはうれしく、感謝の念が混じった不思議な気分になるのだと思います。
1年分の肉を提供してくれる自然の恵み。
いくら文明が発達しても、人は自然から動物、魚、山菜といった恵みを獲り続けるはずです。
他の生命を獲り、頂くこと。
そうすることによって、ただ食べるだけではなく、自分の存在を確かめているのかもしれません。

"Moose in Autumn" <秋のムース>
小さな生き物
デナリを出発して、フェアバンクスに着きました。
さて、今回のデナリですが、今まで見たことがなかったナキウサギに出会いました。
北海道にも同じような亜種(エゾナキウサギ)がいますが、英語でPIKAといい、パイカと発音しています。
崖に住んでいて、大きな石の下を住処や隠れ家にしている小さな動物です。
ドールシープの撮影で休憩をしているとき、目の前をちょろちょろ走っていきました。
普段はついつい大きな生き物ばかりに、注意が行きがちです。
でも、よく目を凝らすと小さな動物や生き物がたくさんいることがわかります。
見過ごしてしまうような小さな動物や生き物を発見した時も、また違った感動があります。
その名のとおり、頭を上げて鳴くナキウサギ。
高い声で一生懸命鳴いていました。

"Pika on the Rock"<岩の上に現れたナキウサギ。甲高い声を出して鳴いていました。>
さて、今回のデナリですが、今まで見たことがなかったナキウサギに出会いました。
北海道にも同じような亜種(エゾナキウサギ)がいますが、英語でPIKAといい、パイカと発音しています。
崖に住んでいて、大きな石の下を住処や隠れ家にしている小さな動物です。
ドールシープの撮影で休憩をしているとき、目の前をちょろちょろ走っていきました。
普段はついつい大きな生き物ばかりに、注意が行きがちです。
でも、よく目を凝らすと小さな動物や生き物がたくさんいることがわかります。
見過ごしてしまうような小さな動物や生き物を発見した時も、また違った感動があります。
その名のとおり、頭を上げて鳴くナキウサギ。
高い声で一生懸命鳴いていました。

"Pika on the Rock"<岩の上に現れたナキウサギ。甲高い声を出して鳴いていました。>
デナリ最後の夜
静まりかえったデナリ国立公園。
あと30分で日付が変わるところです。
しばらくここで写真を撮っていましたが、明日からまた移動です。
目当てであったドールシープも、撮る事ができました。
フィルムでもパノラマ動物写真も含めて撮影した分があるので、帰国前に現像していこうと思います。
明日からは、フェアバンクスからユーコンのドーソンに行きます。
野生が色濃いデンプスターハイウェイに寄って、時間があればファロに立ち寄ってシープの撮影をする予定です。そしてすべてを終わったあとに、ホワイトホースまで帰ります。
これからはどんどん日照時間が短くなってくるので、オーロラも少しは撮る予定です(撮影で疲れたときは、ビールを飲みたくなるのですが、オーロラの前は悲しいですけど控えます。。。)
日に日に寒くなってきている極北。
あと2週間ほど、旅は続きます。
またできればフェアバンクスから更新しますね。

"Majestic Dall Sheep Ram"<立派な角のはえた、ドールシープのオス。近くで見ると、貫禄があります。>
あと30分で日付が変わるところです。
しばらくここで写真を撮っていましたが、明日からまた移動です。
目当てであったドールシープも、撮る事ができました。
フィルムでもパノラマ動物写真も含めて撮影した分があるので、帰国前に現像していこうと思います。
明日からは、フェアバンクスからユーコンのドーソンに行きます。
野生が色濃いデンプスターハイウェイに寄って、時間があればファロに立ち寄ってシープの撮影をする予定です。そしてすべてを終わったあとに、ホワイトホースまで帰ります。
これからはどんどん日照時間が短くなってくるので、オーロラも少しは撮る予定です(撮影で疲れたときは、ビールを飲みたくなるのですが、オーロラの前は悲しいですけど控えます。。。)
日に日に寒くなってきている極北。
あと2週間ほど、旅は続きます。
またできればフェアバンクスから更新しますね。

"Majestic Dall Sheep Ram"<立派な角のはえた、ドールシープのオス。近くで見ると、貫禄があります。>
野生の真髄 −オオカミ−
デナリに撮影に出ていました。
毎日不思議なほど、自然のドラマが目の前に現れます。
今日のドラマは野生の象徴、オオカミでした。
なかなか簡単には見ることができない動物だからでしょうか。
オオカミを見つけると、野生の真髄を見たような気になります。

"A Wolf on Fall Carpet" <野生の象徴、オオカミ>
今までユーコンとアラスカで何回かオオカミは見ていました。
その中でも一番思い出に残っている出来事。
それはオオカミの遠吠えです。
去年の夏にカヤックで旅をした、グレーシャーベイでの出来事です。
崖が真横に切り立った、原野の海岸に立っていたときでした。
向こうのほうから、小さな黒い点が近づいてきました。
一瞬犬かと思ったのですが、人里離れた原野の奥地。犬がいるわけがありません。
どんどん近づいてくるその姿をよくみると、美しい真っ黒の毛皮をまとったオオカミでした。
こちらをちらっと見ながら、何事もなかったかのように通り過ぎていったオオカミ。
興奮に包まれたまま、テントを立て、中に入ったとたんです。
崖の反対側からオオカミが鳴き始めました。
1頭があの独特の長い鳴き声を出したかと思うと、次々に他のオオカミたちが合唱に加わりました。
南東アラスカの独特の霧に包まれた森と海。
オオカミの遠吠えは谷を越えて、原野を包み込んでいました。
舞台がよかったのか、今まで生きてきた中であれほど美しい音は聞いたことがありませんでした。
そして今日、目の前に現れた一匹のオオカミ。
その後ろにはあの威厳のある北米一高い山、マッキンリー山がそびえていました。
自然が用意してくれた、憎らしいほどすばらしい舞台です。

"A Lone Wolf in front of Mt.McKinley"<マッキンリー山の前に姿を現したオオカミ>
毎日不思議なほど、自然のドラマが目の前に現れます。
今日のドラマは野生の象徴、オオカミでした。
なかなか簡単には見ることができない動物だからでしょうか。
オオカミを見つけると、野生の真髄を見たような気になります。

"A Wolf on Fall Carpet" <野生の象徴、オオカミ>
今までユーコンとアラスカで何回かオオカミは見ていました。
その中でも一番思い出に残っている出来事。
それはオオカミの遠吠えです。
去年の夏にカヤックで旅をした、グレーシャーベイでの出来事です。
崖が真横に切り立った、原野の海岸に立っていたときでした。
向こうのほうから、小さな黒い点が近づいてきました。
一瞬犬かと思ったのですが、人里離れた原野の奥地。犬がいるわけがありません。
どんどん近づいてくるその姿をよくみると、美しい真っ黒の毛皮をまとったオオカミでした。
こちらをちらっと見ながら、何事もなかったかのように通り過ぎていったオオカミ。
興奮に包まれたまま、テントを立て、中に入ったとたんです。
崖の反対側からオオカミが鳴き始めました。
1頭があの独特の長い鳴き声を出したかと思うと、次々に他のオオカミたちが合唱に加わりました。
南東アラスカの独特の霧に包まれた森と海。
オオカミの遠吠えは谷を越えて、原野を包み込んでいました。
舞台がよかったのか、今まで生きてきた中であれほど美しい音は聞いたことがありませんでした。
そして今日、目の前に現れた一匹のオオカミ。
その後ろにはあの威厳のある北米一高い山、マッキンリー山がそびえていました。
自然が用意してくれた、憎らしいほどすばらしい舞台です。

"A Lone Wolf in front of Mt.McKinley"<マッキンリー山の前に姿を現したオオカミ>
